アントネッリが1ストップで今季9勝目、王座決定はメキシコへ持ち越し F1アメリカGP決勝
2026年のF1第18戦アメリカGPの決勝が、現地時間25日にテキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われた。ポールポジションから発進したアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が全56周を制し、今季9勝目を挙げた。
2位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)との差は13.078秒。ライバルが2ストップを選ぶなか、メルセデスはミディアムからハードへの1ストップを貫いた。一方、選手権2位のジョージ・ラッセル(メルセデス)が8位、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)が4位に入ったため、初の王座決定は次戦メキシコシティGPに持ち越しとなった。
首位を譲らなかったアントネッリと1ストップの判断
スタートでは、アントネッリが好発進で首位を守った。F1公式サイトのレポートによると、ルクレールがスタート直後にマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)をかわして2番手に浮上。しかしフェルスタッペンが1周目のうちに取り返し、1周目にはデブリ回収のため短いバーチャルセーフティカー(VSC)も入った。
レースの最初の分岐点は13周目だ。フェルスタッペンが早めにピットへ入り、新品のソフトに履き替えて2ストップ作戦を明確にした。これに反応するように、ハミルトンが14周目、ルクレールとオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が15周目、ランド・ノリス(マクラーレン)が16周目にピットへ向かった。
対照的に、メルセデスはアントネッリのミディアムを24周目まで引っ張った。RaceFansの取材に対し、アントネッリは「最初は少し心配だった」と、フェルスタッペンの早いピットによるアンダーカット(先にピットに入り、新品タイヤの速さで前に出る作戦)の脅威を認めている。そのうえで、第1スティントが順調だったことから1ストップに切り替え、ハードは「とても頑丈に感じた」という。
Autosportの分析では、ミディアムは事前予想より早く性能が落ち、ハードとの逆転が想定より早く訪れた。メルセデスはこのハードの強さに賭け、フェラーリやレッドブルの2ストップには付き合わなかった形だ。24周目のピット作業は23.5秒で、アントネッリは4番手で復帰。翌25周目にハジャーとローソンが作業を済ませると、再び隊列の先頭へ戻った。
終盤は、周回遅れのカルロス・サインツ(ウィリアムズ)の進路を譲る動きが遅れ、ターン12でロックアップする場面もあった。TopNewsによると、チームは無線でトラックリミット違反が1回だけだと伝え、慎重な走りを促した。その後、バルテリ・ボッタス(キャデラック)がターン10付近で止まってVSCが入ったが、13秒台のリードを持つ首位への影響は小さかった。
Sky Sportsによると、アントネッリはレース後に「必要としていた結果だった」と語り、1ストップの判断を「戦略面からの完璧な遂行」とたたえた。予選ではトト・ヴォルフ代表が「奇跡のラップ」と評したポールを獲得しており、ベルギーGP以来8戦ぶりのポールから、スペインGP以来の勝利へつなげた。
アストンマーティン・ホンダ、「今季最高」の手応えを1周目の接触が奪う
日本のファンにとって、もう1つの焦点はホンダのパワーユニット(PU)を積むアストンマーティンだった。フェルナンド・アロンソは予選15番手だったが、他車のPU交換によるグリッド降格で12番グリッドに繰り上がり、ソフトでスタートした。
ところが1周目、ターン11でアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)と接触。TopNewsによると17番手まで後退し、その後サインツとアルボンを抜き返して、各車のピット後には一時10番手まで戻した。28周目にソフトからミディアムへ交換したあと、「フロントの何かを失った」と無線で訴えたという。
データでは、アロンソは42周目に2回目のピットに入り、作業に40.4秒を要してソフトに履き替えている。RaceFansによると、この2回目のストップでフロントウイングを交換した。最終的には1周遅れの16位となった。
それでも、アロンソのペースは目を引くものだった。ベストラップ1分39秒841は全体で10番目の速さだ。レース後、RaceFansに対して「競争力の面では、今年断トツで最高のレースだった」と語り、損傷がなければ「実力で9位か10位」を狙えたとの見方を示した。
接触についてはアルボンを名指しで批判し、後方グループのドライビングの水準にも苦言を呈している。この接触はスチュワードの審議対象にはならなかった。
PU側の評価も前向きだ。autosport webによると、ホンダの折原伸太郎GMは、アメリカに向けた最適化作業の効果を確認し、週末を通してPUのトラブルはなかったという。チームメイトのランス・ストロールは、予選後にパルクフェルメ(車両保管)規定下でPU構成部品などを交換したためピットレーンスタートとなり、15位で完走した。
ハースは、小松礼雄代表がF1公式サイトのチームコメントで「予選よりも決勝のペースの方が強いと分かっていた」と述べていた。だが結果は伴わず、エステバン・オコンが14位。オリバー・ベアマンはターン13でピエール・ガスリー(アルピーヌ)と接触して10秒のタイムペナルティを受け、24周でリタイアとなった。ベアマンは22周目のピットに34.7秒を要しており、この間にペナルティを消化したとみられる。
ソフトに賭けたレッドブルの2ストップが裏目に
今季、直近2戦をポール・トゥ・ウインで制していたフェルスタッペンは、予選2番手から3位に終わった。タイヤはソフト(1〜13周)、ソフト(14〜31周)、ミディアム(32〜56周)。autosport webは、レッドブルが上位勢で唯一、新品ソフトを2セット残して決勝を迎えており、2ストップを見据えた作戦だったと分析していた。
しかし、その第2スティントのソフトが持たなかった。F1公式サイトによると、フェルスタッペンはマシンが「運転できない」と訴え、予定より早い2回目のピットを強いられた。The Raceによると、レース後の無線では、ペースもタイヤ選択もピット作業もエンジンブレーキも、何もかもうまくいかなかったと不満をぶちまけ、戦略はチームと合意したものではなかったとも語っている。
ローラン・メキース代表は同紙に対し、第2スティントのソフトは基本プランではなく、なぜデグラデーション(タイヤ性能の低下)が大きかったかを検証すると説明した。無線のトラブルも2戦続けて起きており、原因の解明が優先課題だ。発進の弱さはエンジン、ギアボックス、クラッチが関わるため、本格的な対策は2027年になるとの見通しだった。
チームメイトのアイザック・ハジャーも不満を抱えた。TopNewsによると、フェルスタッペンに順位を譲るよう指示された際、タイムを失いたくないとして自分のタイミングを主張し、ハードへの交換にも疑問を口にした。
The Raceの取材では、高温下でクラッチが壊れやすく、設計の見直しが必要だと訴えている。ハジャーは3番グリッドから6位に後退した。
フェルスタッペンはその後、ミディアムで追い上げ、47周目にノリスを抜いて表彰台圏内へ。ただ直後にルクレールに2番手を奪われた。クリーンエアでの平均ラップ1分40秒358は、上位勢でルクレールに次ぐ2番目の速さだ。ペース自体はあったものの、2回目のピットの分の時間を取り戻せなかったことが、勝負権を失った主な要因とみられる。
フェラーリの後半勝負とロングランの比較
フェラーリの2台は、ソフト、ミディアム、ハードの順で2ストップを選んだ。ルクレールは39周目、ハミルトンは38周目に2回目のピットを済ませ、残り17〜18周を新品のハードで攻めた。ルクレールはこの勢いでフェルスタッペンを抜き、ハミルトンもノリスをかわして4番手に上がった。
数字を見ると、フェラーリの速さははっきりしている。ルクレールのベストラップ1分37秒976はこのレースの最速で、平均ラップ1分40秒250も全車トップだ。ハミルトンの1分40秒377がこれに続き、ルクレールはドライバー・オブ・ザ・デイにも選ばれた。
| 順位 | ドライバー | タイヤ(周回) | ベスト | 平均(クリーン) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | アントネッリ | M(1-24) H(25-56) | 1:39.086 | 1:40.434 |
| 2 | ルクレール | S(1-15) M(16-39) H(40-56) | 1:37.976 | 1:40.250 |
| 3 | フェルスタッペン | S(1-13) S(14-31) M(32-56) | 1:39.231 | 1:40.358 |
| 4 | ハミルトン | S(1-14) M(15-38) H(39-56) | 1:38.457 | 1:40.377 |
| 5 | ノリス | M(1-16) H(17-56) | 1:39.811 | 1:40.890 |
| 6 | ハジャー | S(1-25) H(26-56) | 1:39.399 | 1:40.981 |
| 7 | ピアストリ | M(1-15) H(16-56) | 1:40.328 | 1:41.351 |
| 8 | ラッセル | M(1-22) H(23-56) | 1:39.928 | 1:41.280 |
この表で注目すべきは、勝者アントネッリの平均ラップが上位4人の中で最も遅い点だ。一方で、アントネッリはピットを1回で済ませ、2ストップ勢より1回分のピットロスが少ない。勝因は純粋な速さよりも、ピット回数の差とトラックポジションの管理にあったとみられる。
F1公式サイトのチームコメントでは、ルクレールが「良いアップデートを持ち込み、気に入っている方向に進んでいる」との手応えだ。ハミルトンは「終盤のVSCがなければ、2台そろって表彰台に上がるチャンスが本当にあったと思う」との見方を示している。3位フェルスタッペンとの差は1.030秒で、フレデリック・バスール代表も、最終ラップまでペースはあったと評価した。
マクラーレンは、ノリスとピアストリがともにミディアムからハードへの1ストップ。ノリスは「マシンを快適な領域をはるかに超えて押し込まなければならなかった」と語り、5位に入った。ピアストリはハードの状態が良かったため1ストップに延ばせたといい、7位で完走した。
ラッセルのペナルティと持ち越された王座
アントネッリがこのレースで王座を決めるには、優勝に加えて、ラッセルが9位以下、ハミルトンが5位以下に終わる必要があった。その条件を崩したのが、ハミルトンの4位と、ラッセルの8位だった。
ラッセルは6番グリッドからスタートしたが、1周目のターン13でピアストリとの争いの際にコース外を走って有利を得たとして審議に。9周目に5秒のタイムペナルティが出された。
22周目のピットは29.7秒で、ここでペナルティを消化した。F1公式サイトによると、ラッセルは「自分がイン側で、彼はアウト側から抜こうとしていた。それは彼のリスクだ」と主張している。
Sky Sportsによると、ラッセルはペナルティ消化でマクラーレン2台の後ろに下がり、レースの半分近くピアストリを追いながら抜けなかった。F1公式サイトのコメントでは「ペースがなかった。理由は分からない」という。チーム内の比較では、勝者との差が明確に表れた。
| ドライバー | グリッド | 決勝 | ベスト | 平均(クリーン) |
|---|---|---|---|---|
| アントネッリ | 1 | 1位 | 1:39.086 | 1:40.434 |
| ラッセル | 6 | 8位 | 1:39.928 | 1:41.280 |
| ローソン | 9 | 9位 | 1:39.652 | 1:41.723 |
| リンドブラッド | 14 | 12位 | 1:39.422 | 1:41.939 |
メルセデスの2人の平均ラップ差は0.846秒で、ペナルティだけでは説明できない差だ。ラッセル自身も原因をつかめていない様子で、次戦までの課題となる。
レーシングブルズでは、ローソンが9番グリッドから9位で2点を獲得した。PU交換で5グリッド降格を受けたアービッド・リンドブラッドは14番グリッドから12位で、ベストラップではローソンを上回ったが、平均ラップでは0.216秒下回った。
Sky Sportsによると、アントネッリはラッセルに123点差、ハミルトンに124点差をつけた。残りの最大獲得点は125点。メキシコシティGPで9位以内に入れば、ほかの結果に関係なく王座が決まる。また、ラッセルとハミルトンのどちらも優勝しなかった場合も、その時点でタイトルが確定する。
アントネッリは8月に20歳になったばかりで、F1参戦2年目。王座を獲得すれば史上最年少のチャンピオンとなる。次戦メキシコシティGPは10月30日から11月1日に開催される。標高の高いメキシコでは、メルセデスがアメリカで見せたタイヤの持ちを再現できるか、そしてホンダPUがアメリカでの最適化の成果を発揮できるかが焦点となる。
詳しくは元記事をご確認ください。
出典:Formula1.com(国際/英語) 2026-10-25 2026 United States Grand Prix race report and highlights: Kimi Antonelli surges to dominant victory ahead of Charles Leclerc and Max Verstappen
出典:Formula1.com(国際/英語) 2026-10-26 What the teams said – race day in the United States 2026
出典:Sky Sports(イギリス/英語) 2026-10-26 United States GP: Kimi Antonelli wins Austin race to move to brink of F1 world title after dominant drive
出典:The Race(イギリス/英語) 2026-10-26 Why US GP has left Verstappen and Hadjar furious with Red Bull
出典:Autosport(イギリス/英語) 2026-10-25 A strategic masterclass: How Antonelli put himself on the cusp of F1 title at the US GP
出典:RaceFans(イギリス/英語) 2026-10-26 Antonelli was "concerned" by threat from Verstappen's early pit stop in Austin
出典:RaceFans(イギリス/英語) 2026-10-25 Alonso says F1 has 'very low quality drivers' at back of grid after Albon collision
出典:autosport web 2026-10-26 ホンダF1折原GM「アメリカに向けた最適化作業の効果を確認。週末を通してパワーユニットのトラブルはなし」
出典:autosport web 2026-10-26 【F1第18戦決勝の要点】2ストップ戦略は機能せず。フェルスタッペン陣営のふたつの誤算
出典:TopNews 2026-10-26 アントネッリ、1ストップで今季9勝目!ルクレールは終盤の猛追で2位、レッドブル勢は戦略に不満/F1アメリカGP決勝ダイジェスト
出典:OpenF1(公開データ)(国際/英語) 2026-10-26 OpenF1 API (session data)
出典:Jolpica-F1(公開データ)(国際/英語) 2026-10-26 Jolpica-F1 API (results)
データ:OpenF1・Jolpica-F1(いずれも CC BY-NC-SA 4.0)、公式リザルトと各社の報道をもとにした、F1公式・FIA・各チームとは無関係の非公式の分析です。
※翻訳は生成AIを利用したため、意図が違う場合もあります。